「ひとりでいいから。」
世の中に、必要以上に、臆病で。
世の中に、悲しいほど、勇気がなくて。
世の中に、生きられないほど、我侭で。
世の中に、足りないほどの、無能だ。
だから。
言えない。
「ここの所、全部頼むわ。」
世の中に、必要以上に、臆病で。
世の中に、悲しいほど、勇気がなくて。
世の中に、生きられないほど、我侭で。
世の中に、足りないほどの、無能だ。
だから。
言えない。
「自分、それはおかしいんじゃないか?」
世の中に、必要以上に、臆病で。
世の中に、悲しいほど、勇気がなくて。
世の中に、生きられないほど、我侭で。
世の中に、足りないほどの、無能だ。
だから。
言えない。
俺は、自慢じゃないが空気が読めない。
他人の話についていくのが難しい。
だが、「空気が読めていない」事くらいはわかる。
だから。
世の中に、必要以上に、臆病で。
世の中に、悲しいほど、勇気がなくて。
世の中に、生きられないほど、我侭で。
世の中に、足りないほどの、無能だ。
だから。
言えない、いや、言わない。

時々、ふと思う。
見慣れた机。見慣れた床。
見慣れた本棚。見慣れたベッド。
見慣れた鞄に、見慣れた天井。
…あれ、俺がいない。
ここはチガウ世界。
どこを探しても、俺がいない。
嫌な感覚。浮遊感と虚無感。
漂うだけで、喪失感は無い。
当然のように、俺がいない。
、瞬間。見つける。
俺が、俺だ。
現実感と吐き気。
続く虚無感。
今、俺がいなかった。
気持ち悪い。ここはチガウ世界。
見慣れた本、見慣れたゴミ箱。
見慣れた引出し、見慣れた服。
見慣れた教科書、見慣れた本。
そこに、確実に、今、俺が、いなかった。

どう考えたって、そうだろう。
―が一番の答えで、それを実行するだけ。
それで、おしまい。
これは、我侭なんだ。
僕が僕のために、嫌だと叫んでいる。
だから、これはただ我侭なんだ。
一番の答えが選べない僕は、子供なのだろうか。
誰も、誰として、僕に子供を望む人はいない。
大人みたいになるように、馴染むように、
前を、上を、歩いて、正確に、刻限、命令。
だから、これはただの我侭なんだ。
―が一番の答えだって、わかっている。
でも、僕が、嫌だと叫んでいる。
だから、

下を。下を、向いていなければいけなかったんだ。
それか。目を、閉じていなければいけなかったんだ。
前を。見てしまった。そこに通じる道を望んでしまった。
だから。あそこで、終わらせるべきだったんだ。

呼ばれたら、僕は呼び出しに答える。
ヨバレタラ、僕ハ呼ビ出シニ答エル。
目の前にある手をどけるように言った。
ほら、今日は嫌な日だ。
だって、今日は嫌な日だから。
理由なんてあるのか。
理由なんてないのか。
呼ばれたら、僕は呼び出しに答える。
ヨバレタラ、僕ハ呼ビ出シニ答エル。
呼ばれても、僕は呼び出しに――。
誰も、いなくなった。